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台詞(せりふ)ユウ
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個人的な自由研究の場として、宝塚歌劇への愛とリスペクトを込めてサイトを運営します。

宝塚歌劇のスペイン語②歌詞(エルクンバンチェロの続き)

「タカラヅカ外国語シリーズ」スペイン語、第2弾の歌詞編です。

前回取り上げた「El Cumbancheroエル・クンバンチェロ)」という有名なラテン音楽の歌詞について、解説しきれなかったスペイン語を取り上げていきます。

前回と今回の記事で、サビの歌詞の意味が分かるようになるかと思います。

意味を調べていて感じたのですが、この曲では「意味のある言葉」よりも「音の響き」や「リズム」が優先されている気がしますね…!

目次

歌詞に出てくるスペイン語

サビの歌詞はこちら。
今回取り上げるのは太字の部分です。

A cumba cumba cumba cumbanchero

(ア クンバ クンバ クンバ クンバンチェロ)


A bongo bongo bongo bongocero…

(ア ボンゴ ボンゴ ボンゴ ボンゴセロ…)


Riquiti que va sonando

リキティ ケ バ ソナンド


el cumbanchero, bongocero que se vá

(エル クンバンチェロ ボンゴセロ ケ セ バ


Bongocero que se vá

ボンゴセロ ケ セ バ…)

「El Cumbanchero」より歌詞を一部抜粋

Riquiti que va sonando 
リキティ・ケ・バ・ソナンド 
鳴りゆくリズム

[riˈkiti ˈke ˈβa soˈnando]

サビの途中に出てくる《Riquiti que va sonando》(リキティ・ケ・バ・ソナンド)は、「鳴りゆくリズム」という意味かと思います。

※前回に引き続き辞書に載っていない口語表現があるので、「こういう説もあるみたい」程度に聞いていただけたらと思います。(調べるのがとっても難しかったです…!)

riquiti》(リキティ)ですが、辞書に載っていなかったのでスペイン語話者へ訊いてみたところ、

マラカスを振った時に出る速くて陽気なリズムを連想させる擬音語」とのこと。

この曲では口語表現が結構出てきますね!
それだけ、その土地の文化を反映した音楽ということでしょうか。

台詞(せりふ)ユウ

なお、筆者は先日大阪万博へ足を運びまして、そのときに中南米のマラカスを実際に振る機会があったのですが

「確かにこの音はリキティと表現したくなるかも…!」という印象でした。

ちなみに「なるほどリキティ口語表現か~辞書では見つからなかったけどSNSでは出てくるかな?」と思いX(旧Twitter)で《riquiti》(リキティと検索すると、たくさん出てきました…!

かなりバリエーション豊かに使われているので明確にこれだという意味を掴むのは難しかったのですが、思い思いの《riquiti》(リキティ)を見ることができてなかなか面白いです。

どうやら気分が高まってリズムに乗りたくなったときに使う…といった理解でだいたい良さそうです。

さらに、この《riquiti》(リキティ)の部分は歌い手によって歌詞が異なったりもします。

例えば《piquiti》(ピキティ)とか《priquiti》(プリキティ)と歌われたり。


いずれにせよ擬音語なので、意味を深く考えずノリで歌うのがよさそうです。

あとは辞書にもきちんと載っているので安心です。(よかった)

que》()は関係代名詞(英語でいう what とか that)です。
なので、前半の《riquiti》(リキティ)を後半の《va sonando》(バ・ソナンド)が修飾するための、繋ぎの役割をしています。

後半の《va sonando》(バ・ソナンド)は「(音が)鳴っている」「(音が)聞こえる」という意味。

これらをまとめると、
Riquiti que va sonando》(リキティ・ケ・バ・ソナンド)は
鳴りゆくリズム」を意味することになります。

個人的には、関係代名詞の《que》(ケ)はあってもなくても意味が通じるかと思うので、歌詞として語呂を合わせるために入れられたような気もしますね。

ちなみに:《va sonando》(バ・ソナンド)を文法的に説明すると「ir動詞 + 現在分詞」

(割と上級者?向けの内容かなと思います。かなり蛇足ですが個人的にこういう内容は好きなので、同志がいたら嬉しいなということで書いてみます)

スペイン語でよく使われる文法表現に、「~していく」「だんだん〜する」意味を表す「ir動詞 + 現在分詞」というものがあります。

上述の《va sonando》(バ・ソナンド)も実はこれに該当します。

しかし一見そうは見えないですよね。
スペイン語では主語に合わせて動詞の形が変化するので、少し分かりづらいかもしれません。

《va sonando》(バ・ソナンド)の《va》()は、
ir》(イル)「行く」という動詞が変化したもの。

動詞の《ir》(イル)は、ほかの動詞に比べても原型をとどめていないレベルで派手に変化するので分かりづらいですね…。

sonando》(ソナンド)は、
sonar》(ソナール)「(音が)鳴る」「(音が)聞こえる」という動詞が現在分詞形へ変化したもの。

こちらは何となく原型をとどめているので親切ですね。

上記をまとめると、
va sonando》(バ・ソナンド)は
~していく」「だんだん〜する」意味を表す「ir動詞 + 現在分詞」という文法表現だということが分かります。

Bongocero que se va 
ボンゴセロ・ケ・セ・バ 
去りゆくボンゴ奏者

[bonɡoˈθeɾo ˈke se ˈβa]

bongocero》(ボンゴセロ)は前回の記事でも取り上げた「ボンゴを演奏する男」ですね。

que》()は前項と同じく関係代名詞です(英語でいう what とか that)。
なので、前半の《bongocero》(ボンゴセロ)を後半の《se va》(セ・バ)が修飾するための、繋ぎの役割をしています。

se va》(セ・バ)は
(その場から)去る」「(その場から)離れる」を意味する動詞の《irse》(イルセ)が主語に合わせて変化した形です。

これらをまとめると、
Bongocero que se va》(ボンゴセロ・ケ・セ・バ)は
去りゆくボンゴ奏者」を意味することになります。

ここで、「え、どうして去りゆくのか…?ボンゴ奏者がいなくなってしまうではないか」と思われた方がもしもいらっしゃったら、私も同感です!笑

何せ80年ほど前の古い曲ということもあり(それとお国柄もあり?)歌詞の解説資料などが特に残っていないのですが、

意味を一通り調べた感じですとこの曲は音の響きやリズムの流れを楽しむような音楽だという印象を受けるので、

深く考えずノリで楽しむのがよいと思われます!

ちなみに:スペイン語では《va》の発音は「ヴァ」ではなく「バ」でOK

スペイン語では《bの発音と《vの発音区別されていません

どちらの音も、英語のbと同じように発音します

あとがき

いかがでしたでしょうか。
これで「El Cumbanchero(エル・クンバンチェロ)」のサビの歌詞は意味が分かるようになりました。

次回は残りのAメロの歌詞を取り上げるので、すべての歌詞の意味が分かるようになります。

何度も書いて恐縮ですが、この曲では「意味のある言葉」よりも「音の響き」や「リズム」が優先されている気がしますね…!

解説しておいて何ですが、リズムと音の流れを楽しめたらオッケー!といったノリの曲だと思います!


参考文献:

  • Diccionario de la lengua española.” Real Academia Española, n.d., https://dle.rae.es/. Accessed 11 Sept. 2025.
  • “Diccionario de americanismos.” Asociación de Academias de la Lengua Española, n.d., https://www.asale.org/damer/. Accessed 11 Sept. 2025.

当サイトの外国語音声は©ondoku3.comを使用しています

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