宝塚歌劇のスペイン語 #1 ―エル・クンバンチェロ歌詞解説 Part1

- エル・クンバンチェロの歌詞全文
- 歌詞の和訳
- 単語・文法の解説
タカラヅカ外国語シリーズ・スペイン語まとめの第1弾です。
宝塚の公演ではスペイン語の歌詞やセリフもたくさん出てきますよね。
第1弾では、有名なラテン音楽である「El Cumbanchero(エル・クンバンチェロ)」の歌詞を解説します。

外国語を解説する記事のリンクまとめ
エル・クンバンチェロ 歌詞解説
和訳
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太字部分が今回の解説ポイント
A cumba cumba cumba cumbanchero
クンバ、クンバ、クンバ──陽気なクンバンチェロ
A bongo bongo bongo bongocero
ボンゴ、ボンゴ、ボンゴ──ボンゴ奏者
Riquiti que va sonando el cumbanchero, bongocero que se va
リキティ、リキティと音を響かせ、陽気なクンバンチェロが行く
ボンゴを叩きながら行く
Bongocero que se va
ボンゴ奏者が行く
A cumba cumba cumba cumbanchero
クンバ、クンバ、クンバ──陽気なクンバンチェロ
A bongo bongo bongo bongocero
ボンゴ、ボンゴ、ボンゴ──ボンゴ奏者
Riquiti que va sonando el cumbanchero, bongocero que se va
リキティ、リキティと音を響かせ、陽気なクンバンチェロが行く
ボンゴを叩きながら行く
Bongocero que se va
ボンゴ奏者が行く
Y suena así el tambor ríquititi
太鼓はこんなふうに鳴る──リキティティ
bom bom bá
ボン、ボン、バ
y vuelve a repicar ríquititi
そして繰り返し打ち鳴らす──リキティティ
bom bom bá
ボン、ボン、バ
A cumba cumba cumba cumbanchero
クンバ、クンバ、クンバ──陽気なクンバンチェロ
A bongo bongo bongo bongocero
ボンゴ、ボンゴ、ボンゴ──ボンゴ奏者
Riquiti que va sonando el cumbanchero, bongocero que se va
リキティ、リキティと音を響かせ、陽気なクンバンチェロが行く
ボンゴを叩きながら行く
Bongocero que se va
ボンゴ奏者が行く
el cumbanchero
エル・クンバンチェロ
お祭り騒ぎをする男
[el kumbanˈʧeɾo]
「El Cumbanchero(エル・クンバンチェロ)」という曲は、1943年にプエルトリコ(中米のカリブ海に位置する島。スペイン語圏)の作曲家によって作詞・作曲されました。
タイトルがそのまま歌詞にも出てきますね。「お祭り騒ぎをする男」という意味です。
《el》(エル)は定冠詞(英語でいう the)です。
《cumbanchero》(クンバンチェロ)は、
中米(キューバ、メキシコ)の口語表現が元になった単語で、普通に辞書で検索しても出てきません。
キューバやメキシコの口語表現で「お祭り騒ぎ」「酒宴」を表す《cumbancha》(クンバンチャ)と、
単語の後ろにくっついて「~をする男性」を表す《~ero》(~エロ)ということば(接尾辞)を組み合わせた単語です。
それで《el cumbanchero》(エル・クンバンチェロ)「お祭り騒ぎをする男」という意味になります。
ちなみに、「お祭り騒ぎをする女」を表すなら
《la cumbanchera》(ラ・クンバンチェラ)になります。
(「~をする人」を表す接尾辞が、女性形の《~era》(~エラ)「~をする女性」に変化します)
―スペイン語の単語には男性形/女性形の区別がある―
男性形の《cumbanchero》(クンバンチェロ)、
女性形の《cumbanchera》(クンバンチェラ)のように、
スペイン語の名詞には必ず男性形/女性形の区別があります。
男性形の単語は《o》で終わることが多く、
女性形の単語は《a》で終わることが多いです。
―スペイン語では定冠詞も性別に合わせて変化する―
スペイン語では、定冠詞(英語でいう the)にも男性形と女性形があります。
男性形は《el》(エル)、
女性形は《la》(ラ)です。
ちょっと複雑ですが、それぞれ複数形もあります。
男性の複数形は《los》(ロス)、
女性の複数形は《las》(ラス)です。
実はこれらの定冠詞は地名にも使われているんです。
例えば、
中米の《El Salvador》(エルサルバドル)、
アメリカの《Los Ángeles》(ロサンゼルス)、
アメリカの《Las Vegas》(ラスベガス)など。
地名に限らず、定冠詞はこれからもたくさん出てくるかと思いますのでぜひチェックしてみてください。
ちなみに冒頭の《A cumba cumba cumba》(ア・クンバ・クンバ・クンバ)の部分ですが、
特に意味のある単語というわけではなく単にリズム感や熱気を表現するための歌詞だと考えられます。
この曲は音の響きやリズムの流れを楽しむような音楽で、擬音語が度々出てくるのが特徴的です。
bongocero
ボンゴセロ
ボンゴを演奏する男
[bonɡoˈθeɾo]
意味は「ボンゴを演奏する男」。
ボンゴはラテン音楽(ざっくり中南米の音楽)で用いられる太鼓の一種です。
混同されがちですが、同様にラテン音楽で用いられる太鼓の一種で「コンガ」というものもあります。
▼サイズ感のイメージ。
左が《bongo》(ボンゴ)です

《conga》(コンガ)は女性名詞
察しのいい方はきっとお気付きだと思いますが、
《bongocero》(ボンゴセロ)は
前項の《cumbanchero》(クンバンチェロ)と単語の構造が似ています。
太鼓の一種である《bongo》(ボンゴ)と、
単語の後ろにくっついて「~を扱う男性」を表す《~ero》(~エロ)ということば(接尾辞)を組み合わせた単語です。
それで《bongocero》(ボンゴセロ)「ボンゴを演奏する男」という意味になります。
ちなみに、《bongo》(ボンゴ)は男性名詞で
《conga》(コンガ)は女性名詞です。
《o》で終わることが多い男性形の単語と、
《a》で終わることが多い女性形の単語の一例ですね。
―スペイン語の発音はローマ字読み・カタカナ発音でもほぼ通じる―
数ある外国語の中で、スペイン語は日本語を話す私たちにとっては発音が簡単な言語かもしれません。
実はスペイン語の発音はローマ字読み・カタカナ発音でもかなりの高確率で意味が通じるんです。
その理由はスペイン語の母音が日本語の母音(アイウエオ)とほぼ同じであることと、子音もローマ字読みに近いことが挙げられます。
実際にスペイン語の母音《a, i, u, e, o》はこんな感じの発音。
(ウの音だけ少し特徴がありますが、全体的に日本語の発音に似てますね)
[a i w e o]
子音もほとんどがローマ字読みで通じます。
ただし一部ローマ字読みとは異なる発音もあるので、それらは今後の記事で出てきたときに解説します。
―ボンゴセロ の本来の綴りは《bongosero》―
実は、歌詞に出てくる《bongocero》(ボンゴセロ)という単語は基本的にスペイン語の辞書には載っていません。
代わりに、《bongosero》(ボンゴセロ)なら載っています。
意味も「ボンゴを演奏する男」です。
なぜ綴りが違うのかというと、
スペイン本土のスペイン語とラテンアメリカ(中南米)のスペイン語の間には単語の発音に若干の違いがあり、
それが綴りにも反映されることがあるからです。
英語でも似たような現象はあって、アメリカ英語とイギリス英語とオーストラリア英語で、発音・綴りや、そもそも使われる単語が異なったりしますね。
あとがき
宝塚ではラテンショーなどもたくさんあるので、スペイン語をちょっと知っているとより楽しくなるのではないかと思います。
ラテン音楽の特徴はとにかく熱いところ。
軽快なリズムに乗せられた熱気あふれる歌詞を聞くと、つい音楽に身を任せたくなってしまうのではないでしょうか。
なお、「El Cumbanchero(エル・クンバンチェロ)」の歌詞についてはまだ解説しきれていない単語もあるので、引き続き次の記事でも解説します。

外国語を解説する記事のリンクまとめ
参考文献:
- “Diccionario de la lengua española.” Real Academia Española, n.d., https://dle.rae.es/. Accessed 31 Aug. 2025.
- “Diccionario de americanismos.” Asociación de Academias de la Lengua Española, n.d., https://www.asale.org/damer/. Accessed 31 Aug. 2025.
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