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台詞(せりふ)ユウ
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個人的な自由研究の場として、宝塚歌劇への愛とリスペクトを込めてサイトを運営します。

宝塚歌劇に出てくるフランス語③ フランス革命編(シトワイヤン、サンキュロット他)

「タカラヅカ外国語シリーズ」フランス語の第3弾。

今回はフランス革命編です。

宝塚の公演はフランス革命を舞台としているものが多いですよね。
歴史上の有名な出来事かつ、ドラマチックに展開していくので非常に舞台映えする題材です。

そしてフランス革命中の出来事登場人物の心情を描くにあたって、フランス語の表現は欠かせません。

表現のニュアンスまで知っていると、きっと舞台観劇がより楽しくなるはずです!

目次

フランス革命に関するフランス語

citoyen/citoyenne 
シトワイヤン/シトワイエンヌ 市民

フランス革命と言えばこちら
市民」という意味です。

フランス革命が題材の公演では必ずと言っていいほど出てきますよね。

男性形/女性形綴り・発音が異なるので、それぞれ解説します。

citoyen シトワイヤン(男性形)

[sitwajɛ]

ちなみに:男性形かつ複数形

citoyens シトワイヤン
[sitwajɛ̃] ※発音は男性の単数形と同じ

citoyenne シトワイエンヌ(女性形)

[sitwajɛn]

ちなみに:女性形かつ複数形

citoyennes シトワイエンヌ
[sitwajɛn] ※発音は女性の単数形と同じ

ちなみに:男性・女性が混ざった複数形

citoyens シトワイヤン
[sitwajɛ̃] ※男性形を複数形にした綴り・発音が採用されます。

市民」という意味です。

民衆の皆さん」「市民諸君」と呼びかけるときによく使われます。

複数の人に呼び掛ける場合、そのときの綴りはきっと複数形のはず。(発音上は区別できませんが)

フランス革命中の1792年から「ムッシュ」「マダム」「マドモアゼル」という貴族的な呼称に代わって
サンキュロット(当時革命を推進していた社会階級の人々)がこの呼称を用いたとされています。

なので、人の名前の前につけて、敬称として「シトワイヤン 〇〇(誰々)」という風に使ったりもします。

sans-culotte サン・キュロット(サンキュロット)

[sɑ̃kylɔt]

フランス革命期において、革命を推進していた社会階級の人々を指します。

sans》(サン)は「〜なしで」という意味(英語でいう without)。
culotte》(キュロット)は「半ズボン」なので、

直訳すると「 半ズボンをはかない(人)」を指します。

この呼び名は、当時の服装に由来します。
(詳しくは下記のコラムにて)

ちなみに:《sans-culottes》(サン・キュロット)は元は蔑称だった?

革命期である18世紀フランスでは、上流階級は膝丈の半ズボンculottes》(キュロット)と絹の靴下を身に着け、庶民は仕事着である長ズボンpantalon》(パンタロン)を身に着けていました。
つまり、服装が身分階級を示していたのです。

そして、これをもとに上流階級が庶民を《sans-culottes》(サン・キュロット)「半ズボンをはいていない連中(=下層・野卑な連中)」と呼んでいたため、《sans-culottes》(サン・キュロット)は元は蔑称として使われていました。

しかし、1789年のフランス革命で、庶民たちが政治的に力を持ち始めます。
すると庶民たちは自らの象徴である長ズボンを誇りとし、「我々は貴族的な半ズボンなどはかない。長ズボンこそ民衆の正しい服装だ!」という政治的・文化的アイデンティティをもつようになりました。

元々は蔑称だったのが、庶民たちは誇りをもって自らのことを《sans-culottes》(サン・キュロット)「半ズボンをはかない者たち」と呼ぶようになったわけです。

それ以来、革命派はこの呼称を「庶民の力」の象徴として積極的に用いるようになりました。

Vive ~ ヴィヴ ~ ~万歳

Vive la République ヴィヴ・ラ・レピュブリック 共和国万歳

[viv la ʁepyblik]

Vive la France ヴィヴ・ラ・フランス フランス万歳!

[viv la fʁɑ̃s]

~万歳!」というときに使います。

vive》(ヴィヴ)は、《vivre》(ヴィーヴル)「生きる」という動詞が変化した形。
République》(レピュブリック)は「共和国」を指します。
間の《la》()は定冠詞(英語でいう the )で、後ろに来る《République》(レピュブリック)が女性名詞なのでそれに合わせて女性形になっています。

la France》(ラ・フランス)は国としての「フランス」を意味します。
こちらも女性名詞ですね。

ちなみに:時代によって使われる表現が変わっていった?

元々は国王などに忠誠を表すときに《Vive le roi !》(ヴィヴ・ル・ロワ)「国王万歳!」のように使われていました。

しかし、フランス革命期に王政を否定する潮流が高まり、《Vive la Nation !》(ヴィヴ・ラ・ナスィヨン)「国家万歳!」 や《Vive la République !》(ヴィヴ・ラ・レピュブリック)「共和国万歳!」 が登場。
民衆の政治的スローガンとして使われるようになりました。

なお、現代では《Vive la Nation !》(ヴィヴ・ラ・ナスィヨン)「国家万歳!」は古臭い表現となりましたが、

一方で《Vive la République !》(ヴィヴ・ラ・レピュブリック)「共和国万歳!」や《Vive la France !》(ヴィヴ・ラ・フランス)「フランス万歳!」は、
政治・スポーツ・国民的行事などで愛国心を表すことばとして現代でも使われています

あとがき

今回はフランス革命の場面で出てくるフランス語を取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。

私自身も勉強になる内容があり、この機会に知ることができてよかったです!

それぞれの表現が用いられるようになった歴史的背景まで知っていると、きっと理解が深まって舞台観劇がより一層楽しくなるのではないかと思います!


参考文献:
Larousse. Larousse.fr. Accessed August 18, 2025. https://www.larousse.fr/dictionnaires/francais/.

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