宝塚歌劇のフランス語⑥挨拶(ボンジュール、アビアント、アデュー他)

「タカラヅカ外国語シリーズ」フランス語、第6弾の挨拶編です。
このフランス語のシリーズも第5弾まで終わり、ちょっと一段落したかな~というところで
箸休め(?)的にフランス語の挨拶を取り上げていこうと思います。
とは言え、基本の挨拶はやはり使用頻度が高いので知っておいて損はなしです!

フランス語の挨拶
Bonjour ボンジュール おはよう、こんにちは
[bɔ̃ʒuʁ]
有名すぎてもはや書く必要があるのかな?つまらなくないかな?と迷いましたが、せっかくなので取り上げてみます。
「良い」という意味の《bon》(ボン)と、「日」を表す《jour》(ジュール)がくっついたことばです。
(よく使う表現だからくっつけちゃおう!あるいはいつの間にかくっついてた!みたいな感覚です)
英語でいうと《Good day》です。
日本語でも、「こんにちは」は「今日(こんにち)は良い日和ですね」などが由来だとされているので、
この挨拶は世界共通の感覚なのだなと面白くなりますね。
ちなみに:フランス語の《j》の音は伸びる
日本語で「ジュー…」と発音するとき、《j》の音が聞こえるのは最初だけで、あとは「ウー…」の音が伸びます。
では、フランス語はというと、最初から最後まで《j》の音がどこまでも伸びていきます。
意識してみると、日本語の「ジュ」は発音するときに舌先が前歯の裏に一瞬くっついているかと思います。
フランス語っぽく発音するには、舌先が前歯の裏に触れないように、気持ち空気をたくさん吐くような感覚で「ジュー…」と発音するとそれっぽくなります。
Bonsoir ボンソワール こんばんは
[bɔ̃swaʁ]
「良い」という意味の《bon》(ボン)と、
「夕方」「晩」を表す《soir》(ソワール)が
くっついたことばです。
英語でいうと《Good evening》です。
ちなみに:フランス語の《r》の発音は独特?
(①慣用表現編の内容の再掲)
《Bonsoir》をカタカナで書くと「ボンソワール」ですが、
フランス語の発音をよくよく聞いてみると最後に「ル」とは発音していないのが分かります。
日本語を母語とする人にとって発音が非常に難しいのですが、喉の奥の方で空気がふるえるような音です。
どちらかというと、「ラ行」というよりは「ハ行」に近いような音です。
Bonne nuit ボンヌ・ニュイ おやすみなさい
[bɔn nɥi]
英語でいう《Good night》です。
《nuit》(ニュイ)は「夜」を意味します。
《soir》(ソワール)「夕方、晩」よりも遅い時間帯の「夜」です。
そして《bonne》(ボンヌ)ですが、これは前述した《bon》(ボン)「良い」の女性形です。
フランス語の単語には性別がついていて、同じ単語でも男性形と女性形とで綴りや発音が異なるのですが
この《bonne》(ボンヌ)もその一例です。
※《nuit》(ニュイ)が女性名詞なので、それに合わせて男性形の《bon》(ボン)から女性形の《bonne》(ボンヌ)に変化しているんですね。
ところで、前項の《Bonjour》(ボンジュール)で使われている《jour》(ジュール)と、
《Bonsoir》(ボンソワール)で使われている《soir》(ソワール)は、男性名詞/女性名詞どちらなのかというと…
どちらも男性名詞なので、それに合わせて《bon》(ボン)も男性形になっているんですね。
Bon voyage ボン・ヴォワイヤージュ(ボン・ヴォヤージュ) 良い旅を!
[bɔ̃ vwajaʒ]
「良い」という意味の《bon》(ボン)と、
「旅」を表す《voyage》(ヴォワイヤージュ、ヴォヤージュ)で
「良い旅を!」というそのままの意味です。
Au revoir
オー・ルヴォワール(オ・ルヴォワール)
さようなら
[o ʁəvwaʁ]
最も一般的な「さようなら」の挨拶。
目上の人にも親しい人にも使えます。
《revoir》(ルヴォワール)は「再会」という意味の名詞です。
(動詞としての「~に再会する」という意味もありますが、この表現では名詞として使われています。)
最初の《au》(オー)は、実は2つの単語が合体したもの。
「~に」「~で」を表す前置詞の《à》(ア)(英語でいう at のようなもの)と、
定冠詞の《le》(ル)が合体すると…
まさかの《au》(オー)になります。
上記をまとめると、《Au revoir》(オー・ルヴォワール)は再会することを前提とした別れの挨拶ということになります。
ちなみに:「オー・シャンゼリゼ」の「オー」は感嘆詞の《Oh》ではない?
宝塚からちょっと離れますが…有名なフランス語の曲に「オー・シャンゼリゼ」がありますね。
多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「シャンゼリゼ通り」という、パリの有名な大通りを歌った曲です。
↓「再生」ボタンで視聴できます
実は「オー・シャンゼリゼ」の綴りは《aux Champs-Élysées》で、
「シャンゼリゼ通りで」とか「シャンゼリゼ通りに」という意味です。
「オー」は感嘆詞の《Oh》ではないんですね。
この《aux》(オー)という部分は、
実は《Au revoir》(オー・ルヴォワール)「さようなら」の《au》(オー)と同じ構造。
すなわち、前置詞の《à》(ア)と定冠詞が合体したものです。
微妙に綴りが異なるのは、定冠詞が複数形の《les》(レ)になっているから。
※後ろに来る《Champs-Élysées》が複数形なので、定冠詞もそれに合わせているんですね。
ちなみにフランス語版の曲名は《Les Champs-Élysées》(レ・シャンゼリゼ)で、
そのまま「シャンゼリゼ通り」という意味です。
日本で広まった曲名が「オー・シャンゼリゼ」なのは、なんとなくその方が記憶に残りやすいからでしょうか?
À bientôt ア・ビアント(ア・ビヤント) また会いましょう、またね
[a bjɛ̃to]
「(具体的にいつ会うかは決まってないけど)近いうちにまた会いましょうね!」というニュアンスの別れの挨拶です。
《bientôt》(ビアント)は「間もなく」とか「近いうちに」を表します。
Adieu アデュー さらば
[adjø]
「さようなら」という意味ですが…
前述した《Au revoir》(オ・ルヴォワール)や《À bientôt》(ア・ビアント)が
「また会いましょうね」のニュアンスを含んでいるのに対して、
こちらは「今生の別れ」や「二度と(ないしは一生に近いほどの長期間)会えない」というニュアンスが含まれているところが異なります。
日本語で言うと、古い表現ですが「さらば」が近いでしょうか。
2024年 雪組『ベルサイユのばら』より「セラビ・アデュー」
ストーリーのネタバレがあるので注意です
(繰り返し再生する場合は 2:37~)
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あとがき
今回は基本の挨拶を取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
簡単なフレーズばかりだとつまらないかなと思い、なんだか蛇足に蛇足を重ねてしまったような気もするのですが…
楽しかったのでよしとします!

参考文献:
Larousse. Larousse.fr. Accessed August 18, 2025. https://www.larousse.fr/dictionnaires/francais/.
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